<北水ブックス>
海で身体のすべてを耳にする
―ニシンと鬼ごっこ、マグロを抱きしめる、迷子のウミガメ
漁法や計測に焦点をあてた研究を続けている著者が、感じてきた楽しさはもちろん、つらさ、さみしさも詰め込んだ本。「これから研究者を目指す人たち、海や水産に関わろうとする人たちの気持ちに寄り添って、背中を押したい」「こんな世界や可能性があることを想像してワクワクしてほしい」という著者の気持ちがあふれています。
※内容見本はこちら
書籍データ
発行年月 | 2022年10月 |
判型 | A5 |
ページ数 | 128ページ |
定価 | 1,980円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-80009-3 |
概要
この本は誰かの共感のきっかけになれたらいいなと思い、これまで私が漁法や計測に焦点をあてて海や水中生物の研究をしてきたなかで、また学生から院生、若手研究者と呼ばれるようになるまで生活のなかで感じたことを詰め込んだ。専門分野の漁業の話に加えて、海や水辺でのフィールド研究という特殊な話なので、もちろん珍しく面白い話もたくさんある。それでも、楽しさだけでなく、研究や調査のつらさ、さみしさ、また自然の怖さについても触れている。私の経験したことというフィルターを通してではあるが、何よりも、こんな世界や可能性があることを想像してワクワクしてほしい。
本書のタイトル「海で身体のすべてを耳にする」は、私の好きな言葉「I'm all ears(熱心に聞く、興味津々)」へのオマージュである。目の前の話や状況を全身でもって感じて興味津々な様子が、ありありと目に浮かぶ言葉である。本書の内容が、海洋や水産、学術研究分野への興味のきっかけとなれば幸いである。
(「なぜこの本を書いたか」より抜粋)
目次
第1章 船でうきうき
酔うから船に乗りたくない
ゴールドとコバルトブルーを抱きしめる
[コラム]水産学部って漁師になるの?
ニシンと冬の鬼ごっこ
空飛ぶカツオ
[コラム]船でのご飯事情
マグロだって抱きしめる
第2章 水際でしっとり
タチウオが立った
水槽で群来を起こしたい
[コラム]海で闘うための装備品
カキが開くのを待つ
600匹のメバルの晩餐会
[コラム]でっかいどうの広さと車移動
のりしおの香りの迷子のウミガメ
トヤマエビの泥棒を監視する
第3章 耳にくどくど
タチウオがサムライソードのようだと異国で話す
渾身の文章はすぐに血まみれになって返ってくる
[コラム]190万円を獲得する
第4章 心のなかでどぎまぎ
マッターホルンを見つめながら水産博士を志す
[コラム]子育てとバイオロギング
プロフィール
富安 信(とみやす まこと)
北海道大学大学院水産科学研究院助教。
1990年群馬県前橋市生まれ。群馬県立前橋高等学校,北海道大学水産学部海洋資源科学科,北海道大学大学院環境科学院を経て,同大学より博士(環境科学)を取得。同大学北方生物圏フィールド科学センターにて日本学術振興会特別研究員PDを経験後,2019年より現職。
専門は,行動計測学および漁具漁法。調査手法として水産音響手法やバイオロギング,テレメトリも用いる。
あらゆる海のなかを3Dに見えるようにする技術を創るのが夢。
その他
紀伊國屋書店ウェブストアで見る
楽天ブックスで見る
hontoで店頭在庫を確認する
<既刊の北水ブックス>
海をまるごとサイエンス(海に魅せられた北大の研究者たち)
出動!イルカ・クジラ110番(松石隆)
魚類分類学のすすめ(今村央)
北海道の磯魚たちのグレートジャーニー(宗原弘幸)
プランクトンは海の語り部(松野孝平)
凍る海の不思議(野村大樹)
卓越年級群(髙津哲也)
ヤドカリに愛着はあるが愛情はない(石原千晶)
AIが切り拓く養殖革命(石若裕子 編著)
道南おさかな図鑑(魚に魅せられた北大の研究者たち)