[CUPSシリーズ1]
宇宙物理学シミュレーション
(DOS/V用ソフト付)


Anthony Danby・Richard Kouzes・Charles Whitney 著
福江純(大阪教育大学天文学研究室助教授) 監修/山本菊男 訳
B5・224頁・4,200円/ISBN4-303-55600-9
初版1996年1月発行


【注】Windows98以降では、多くの場合動作しません。ご注意ください。

 概 要
この本のシミュレーションはパソコンの能力を活用して講師や学生に物理学を教え学ぶ新しい機会を提供し、極めて重要な体感を育てるのに役立たせることを目的としている。テキストは読まずにプログラムを使うこともできるが、この本はその基礎となっている物理を理解し、その上でプログラムをいろいろと利用する方法のヒントを提供している。

我々はこの本に書かれているコンピュータプログラムを指すのに「シミュレーション」という用語を使っている。この用語はいろいろな物理的システムのモデルの、複雑なしばしば実際的な計算を行い、その結果をグラフィカルな(しばしばアニメーションとして)画面で出力することを含むプログラムを指したつもりである。シミュレーションの多くは数値的な出力、時には他のプログラムで解析するための出力ファイル形式のものを出すこともできる。ユーザは通例システムの各種パラメータを変更することができ、そうした場合システムがどんな動きをするかをリアルタイムで学ぶことができる。
 
 実行できるシミュレーション
STELLAR (恒星モデル)
流体力学的平衡状態にある静的な恒星の構造のシミュレーション。これはゼロ歳の主系列星のモデルを提供し、ユーザが、密度、温度、光度がいかに星の質量に依存しているかを含めた星の内部に存在する物理プロセスを理解するのを助ける。これらの星は自分自身の質量による重力収縮と、中心部の核融合から供給されるエネルギーによる熱力学的なプロセスで支えられている高温ガスの塊である。このモデルでは星の物理的過程を支配している4つの微分方程式を解き、平衡に達する条件は星の質量と組成のみに依っていることを示している。

EVOLVE (恒星の進化)
静的な星の物理を構築し、(1)どのようにしてガス雲がつぶれて主系列星になり、(2)どのように星が主系列から終末へと進化するかを考察する。モデルはSTELLARプログラムと同じ物理的過程をベースにしている。不規則なガス雲から出発し、ガス雲が崩壊して原始星が生まれ、十分な密度に達し核融合の火がつく。星がひとたび平衡に達すると、その星はその生涯の大部分を主系列上で過ごし、燃料を使い果たしたあと主系列から離れた進化をたどる。星の一生の最終段階は急速で劇的な進化で特徴づけられる。

VISUAL1 (実視連星−固有運動)
実視連星系の個々の星が空でどのような固有運動をするかを実際に目で見ることを可能にする。ユーザは星系の各要素、質量比、および重力中心が画面を横切って動く速さを入力することができる。プログラムはまた各要素についての3次元アニメーションによるデモンストレーションも含んでいる。

VISUAL2 (実視連星−真の軌道)
伴星に対して主星を内部の任意の点に置いた任意の離心率の見かけの軌道を選ぶことができる。軌道要素も表示される。軌道の3次元アニメーションを見ることができ、見かけの軌道をベースにした観測を行うことができる。

ECLIPSE (食連星)
軌道運動と光度曲線、または食のアニメーションと光度曲線を表示する。星の等級、半径、軌道などの要素を選択できる。オプションとして周縁減光(limb-darkening)の形状も含まれる。

SPECTRO (分光連星)
分光連星(spectroscopic binary)の軌道要素を選択すると、速度曲線、軌道運動、スペクトル線の変化の様子を表示する。

TIDAL (連星の潮汐変形)
伴星によって潮汐変形をした主星の周囲をめぐる伴星の運動のモデル。軌道要素、星の質量、潮汐の遅れのパラメータ、主星の最初の自転速度を選ぶことができる。方程式を積分する際の時間間隔はユーザが決める。そうすると軌道要素と主星の自転が時間と共に変わる様子を観察できる。公転ごとの詳細な運動、または平均化された公転を見ることができる。

ROCHERAD (光-重力的制限3体問題)
互いに円軌道を描いている2つの物体の重力場の中にある粒子の2次元的な運動を見る。オプションとして2つの物体からの輻射圧を考慮した場合も用意されている。これは、1つには、降着円盤の形成の説明の背景になるよう考えられている。速度ゼロのカーブ(これで運動の範囲が限定される)が見られる。軌道はまたポアンカレ写像によっても追うことができる。

ACCRDISK (降着円盤の形成)
この過程におけるいくつかの動力学的な段階を追う。動力学は最初の熱点(hot spot)の形成までが有効で、その後は定性的なものである。

TWOGALAX (The Model of Wright and Toomres)
2銀河系間の相互作用を扱う。それぞれ中央の引力中心とそれを取り巻く多くの星のリング(星は引力で引かれるが、それ自身は引力を及ぼさない)で構成されている。他方の銀河に対する一方の銀河の軌道要素を選択する。リング中の星の数と分布は初期値を使う。銀河の軌道面およびそれに垂直な面に投影された銀河系の動きが見られる。それぞれの位置は後で再度見られるようファイルに保存できる。

ASTROIDS (小惑星に対するN体の適用)
同じ基本モデルを使うが、恒星や惑星が銀河の位置を占め、小惑星が星にとって代わったもの。強調点は小惑星がすべて同じ周期を持つこと、その周期は惑星の周期と尽数関係にあることである。系の軌道運動を観察できる。それぞれの位置は後でまた見られるようファイルに保存できる。1つの小惑星を選び、その軌道要素の変動も観察できる。

NBODIES (引力を及ぼし合うN体の運動)
物体の数(最大20個)と系の全エネルギーを選ぶ。このエネルギーと矛盾しないように初期条件を適当に設定すると、その結果の運動が観察できる。運動のあいだ、運動エネルギーなど各種の数値が表示される。それぞれの位置は後で参照できるようファイルに保存できる。

PLANETS (自分自身の太陽系を作る)
前出のプログラムに似ているが物体を恒星と惑星にしたもの。惑星の最初の各要素を決めることで系の初期条件が決まる。それぞれの位置は後で参照できるようファイルに保存できる。

PLAYBACK
いままでのプログラムで保存したファイルを再度見ることができる。

ELEMENTS (惑星の軌道要素)
どの角度からでも見ることができる3次元アニメーション。

ROTATION (銀河の回転カーブ)
1つの中心質量と最大5個までのスフェロイド(見えるようにも見えないようにもできる)で構成された銀河系を設計する。画面に銀河が現れ、回転のアニメーションまたは回転カーブが表示される。

OORTCONS (銀河系運動学とオールト定数)
自分自身の銀河系を設計する。太陽の位置とそのまわりの局所領域を選び、この領域内での運動を観察する。一次近似と比較した半径方向速度と固有運動のグラフを表示し、オールト定数を計算する。

ARMS21CM (銀河渦状構造)
自分自身の銀河系を設計する。一組の渦状腕を作り、太陽の位置を選ぶ。いろいろな銀経からの21cm線で観測した側面を見ることができる。

ATMOS (星の大気)
ユーザは好みの星座を選ぶことができ、それがコンピュータの画面に表示される。どれか1つの星を指定すれば、それが色-等級図上にプロットされる。ユーザが要求される仕事は観察している星と測光学的特性が似かよったモデル大気を作ることである。これは3つの基本的な恒星パラメータ(半径、質量、光度)の数値を特定することによってできる。プログラムはこれによってモデルを作り、色-等級図上に表示し、その星のスペクトルと星の大気の詳細な熱力学的な構造をプロットする。このプログラムを使うことでユーザは恒星パラメータと大気中のガスの熱特性との間の関係を調べることができる。簡単に比較するために二つの大気のグラフを重ねて表示することもできる。

PULSE (星の脈動)
球状の伸縮性の殻で分割されている自己重力収縮ガス体として星をモデル化し、その星の熱的-機械的な振る舞いをシミュレートして星の脈動を説明する。この伸縮性の殻は一連の連成振動(coupled oscillation)をなぞらえたものである。このプログラムは小さい振幅運動モードを解くもので、任意の開始条件に対する運動を構築するのにフーリエ合成を用いている。画面では熱力学的構造と表面特性、たとえば温度、圧力、速度などを表示する。アニメーションでは脈動の性質を表示する。運動、温度、エネルギー束を示すことで、プログラムは脈動星の内部で動いている熱機関を説明する。殻の運動と固有モードへの空間フーリエ分解が同時に示され、フーリエ成分の意味を視覚的に理解するのを助ける。


理工学(物理・化学)のページへ
トップページ
ご注文はこちら