[CUPSシリーズ4]
電磁気学シミュレーション
(DOS/V用ソフト付)


Robert Ehrlich・Jaroslaw Tuszynski・Lyle Roelofs・Ronald Stoner 著
尾中龍猛(筑波大学名誉教授) 監修
山崎昶(電気通信大学助教授) 訳
B5・216頁・4,200円/ISBN4-303-55660-2
初版1996年7月発行


【注】Windows98以降では、多くの場合動作しません。ご注意ください。

 概 要
この本のシミュレーションはパソコンの能力を活用して講師や学生に物理学を教え学ぶ新しい機会を提供し、極めて重要な体感を育てるのに役立たせることを目的としている。テキストは読まずにプログラムを使うこともできるが、この本はその基礎となっている物理を理解し、その上でプログラムをいろいろと利用する方法のヒントを提供している。

我々はこの本に書かれているコンピュータプログラムを指すのに「シミュレーション」という用語を使っている。この用語はいろいろな物理的システムのモデルの、複雑なしばしば実際的な計算を行い、その結果をグラフィカルな(しばしばアニメーションとして)画面で出力することを含むプログラムを指したつもりである。シミュレーションの多くは数値的な出力、時には他のプログラムで解析するための出力ファイル形式のものを出すこともできる。ユーザは通例システムの各種パラメータを変更することができ、そうした場合システムがどんな動きをするかをリアルタイムで学ぶことができる。
 
 実行できるシミュレーション
FIELDS (スカラー場とベクトル場の解析)
ユーザが入力したどのような代数的あるいは三角法的表現に対してもスカラー場とベクトル場を表示してくれる。また、与えられたベクトル場に対して、divergence、curl、ラプラシアンなどを数値的に計算してくれるし、スカラー場の場合にはgradとラプラシアンを計算する。選定した量についての表示は、ユーザが指定したベクトル、等高線、三次元プロットのどれかを使って同時画面表示も可能となっている。このプログラムではまた、どの線に沿って線積分を計算するかをユーザに指定させることもできる。

GAUSS (ガウスの法則)
球対称、あるいは円筒対称を持つ連続的な電荷分布、およびx座標のみの関数で表せる電荷分布を扱っている。このプログラムではユーザに、電場の大きさやポテンシャル、電荷密度などのどれかを定義できる任意の関数の入力を認めている。するとコンピュータは数値微分か積分によってほかの二つの関数を計算し、三種類の関数をすべて表示してくれる。またこのプログラムではユーザに「比較関数」の入力を許し、あなた自身の解析結果が正しいかどうかをチェックできるようになっている。

POISSON (ポアッソンの方程式。格子上で解く)
二次元の格子上で、ポアッソンの方程式を同時過度緩和法を利用して反復法で解く。ユーザは各自、二次元格子に直交した、直線状電荷や、荷電導体の円筒や板、導線などからなる任意のシステムを扱うことができる。ポアッソンの方程式を反復法で解いたあと、プログラムはポテンシャルと電場、電荷密度(ポテンシャルのラプラシアンから得られる)を等強度線、ベクトル、三次元プロットのどれでも好みのスタイルで表示できる。このほかにもいろいろなことが可能で、たとえばユーザが特定した代数的関数に従って変化するポテンシャル表面を表示したりすることもできる。

IMAG&MUL (鏡像電荷と多重極表現)
ラプラスの方程式を解くための二通りのアプローチの探索を可能としている。すなわち鏡像電荷法と多重極能率拡張法である。鏡像電荷(IC)モードでは、ユーザは導体平面や点電荷などのいろいろな配置を見た上で、任意の場所に鏡像電荷を置くことによって問題を解くように要求される。プログラムはあらゆるタイプの点電荷(実物と鏡像の両方)による電場を表示し、導体表面に直交した位置にあるあらゆる電荷による電場について、満足すべき解答を与えると見なされている。得られた解は、プログラムに含まれているいろいろなソフトウェアツールを利用してテストすることが可能である。もう一方の多重極子拡張(ME)モードは、標準の静電的問題についての実地の探検を可能としてくれる。とくに特定の等電位面の外側に生じる電場を定める場合などのような「外部の問題」が扱える。このプログラムは多種多様の方向性対称を持つ等電位面をユーザに提供してくれる。ユーザであるあなたは、これにいろいろと選んだ多重極モーメント(最初は六重極)を付け加え、その結果生じるポテンシャルを解いてみることになる。画面には合計したポテンシャルの等強度線が表示される。問題がうまく解かれたかどうかは、いちばん内側の等強度線が与えられた等電位表面とできるだけ近接したものとなったかどうかでわかる。

DIELECT (誘電性物質)
セルベースの近似を用いて、一次元の誘電体の挙動のシミュレーションを行うプログラムである。25×25の格子点にある各セル(第三の方向にはすべて均一であると仮定している)の分極率や誘電分極をいろいろとコントロールできる。反復緩和法によってつじつまの合う解が得られ、P、E、Dそれぞれの電場が表示される。学生諸君は分極性物質の自己相互作用、そのほかいろいろな幾何学的な効果を探求することもできる。このプログラムを使えば、P、E、Dそれぞれの意味と相互関係についてよく理解できるようになるだろう。

ATOMPOL (原子分極)
原子分極現象を探るためのプログラムである。それぞれの分極率を任意に制御できる原子(最大36個)を外部電場の中に置いて、これらの原子の存在している位置付近の電場を解いて画面に表示する。クローズアップウィンドウを使うと、その中での特定の選択した原子を大写しにすることができるし、ソフトウェアツールによって、生じた電場についてもっといろいろ詳しい解析も可能である。このプログラムを使うと、学生諸君は分極現象、分極性物質間の相互作用、さらには分極性分子が密接して存在する小さなクラスターの研究をもととした、巨視的分極の原子的起源などについて、ずっとよく理解できるようになるだろう。

MAGSTAT (静磁気学)
磁性物質の内部およびその近傍における磁場を計算し、画面に表示する。磁性物質は均質で三次元の形状を持つ固体で、垂直軸方向に回転できる。磁性物質の形は入力画面からいくつかのものを選択したり、あるいは変更したりすることも可能である。ユーザは均一で永久的に磁化された物体が生成する磁場をつくらせたり、あるいは均質な外部磁場の中に置かれた磁性物質のつくる磁場を観察したりすることもできる。対象物体の形状やアスペクト比を選択できるほか、磁性物質の透磁率を変化させることも可能である。さらに磁気誘導(B)、磁場強度(H)、磁化(M)のそれぞれを選択して画面に表示することもできる。これらの値は何とおりかの別の方法で描かせられる。磁場を計算するためのアルゴリズムは、チェビシェフ多項式近似を、「磁気的電荷」の環による磁場Hに重ねて描く方法を採用している。

ACCELQ (加速された電荷による場)
二次元の空間内で、加速度運動する点電荷のために生じる電磁場のシミュレーションである。ユーザは前もって準備されている七種類の電荷移動のトラジェクトリの中から選択し、最大速度と観察時間を設定する。電場のパターンはトラジェクトリやパラメータが変更されるたびに再計算が行われる。その後ユーザは、電場、磁場、遅延ポテンシャル、ポインティングベクトル場などを、マウスをフィールドプローブとしていろいろと調べることができる。さらに格子を重ねてみたり、観察している面のいろいろな断面図を描かせることも可能である。

QANIMATE (加速された電荷による場−アニメーション版)
二次元の空間内で点電荷が移動している際に生じる電場のパターンを、アニメーションの形で図示するものである。電荷の運動はユーザがキーボードから入力して操作する。画面表示は電場の線、放射波面、交差点などである。電荷の移動は矢印キーでコントロールでき、加速や方向変更など、自動車のハンドルと同じように操れる。ただ加速だけはその勾配を変えることしかできない。スペースバーはハンドル操縦の起動や中断に用いられる。操縦を開始すると、電荷は円を描いて移動する。加速度をゼロにしなければ、速度は許容最大値まで増加するか、あるいは認められた最小値まで減少することになる。一定速度で等速回転の場合には、スペースバーだけで電荷の移動をコントロールすることになる。

EMWAVE (電磁波)
平面偏光した電磁波の電場と磁場の挙動をアニメーションの形で図示するものである。ユーザは自由空間内での電磁波の移動の観察か、あるいは物質の境界上での入射電磁波の受ける効果の観察、あるいは偏光方向を変えられるような光学素子の効果の観察などのどれかを選択できる。ストークスパラメータの特定化によって、入射電磁波の偏光状態を変更させることもできる。定常電磁波は入射電磁波と、等しい振幅の反射波の結合によってシミュレートできる。ユーザは、電磁波の入射する媒質の持つ物理的パラメータを適当に変更することによって、どのような変化が起きるかを観察することも可能である。


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