[CUPSシリーズ6]
近代物理学シミュレーション
(DOS/V用ソフト付)


Douglas Brandt・John R. Hiller・Michael J. Moloney 著
尾中龍猛(筑波大学名誉教授) 訳
B5・200頁・4,100円/ISBN4-303-55700-5
初版1996年12月発行


【注】Windows98以降では、多くの場合動作しません。ご注意ください。

 概 要
この本のシミュレーションはパソコンの能力を活用して講師や学生に物理学を教え学ぶ新しい機会を提供し、極めて重要な体感を育てるのに役立たせることを目的としている。テキストは読まずにプログラムを使うこともできるが、この本はその基礎となっている物理を理解し、その上でプログラムをいろいろと利用する方法のヒントを提供している。

我々はこの本に書かれているコンピュータプログラムを指すのに「シミュレーション」という用語を使っている。この用語はいろいろな物理的システムのモデルの、複雑なしばしば実際的な計算を行い、その結果をグラフィカルな(しばしばアニメーションとして)画面で出力することを含むプログラムを指したつもりである。シミュレーションの多くは数値的な出力、時には他のプログラムで解析するための出力ファイル形式のものを出すこともできる。ユーザは通例システムの各種パラメータを変更することができ、そうした場合システムがどんな動きをするかをリアルタイムで学ぶことができる。
 
 実行できるシミュレーション
NUCLEAR (核エネルギーおよび核計数)
原子核の基礎的性質と、質量、電荷、エネルギーとの関係を、約1900個の核種について取り扱う。アルファ崩壊、ベータ崩壊を含め、いろいろな種類の原子核反応に対して、結合力、質量およびQ値に関するグラフが得られる。第2部では、ガイガー-ミューラー計数管を用いた計測の統計のシミュレーションを取り扱う。ここではまた、中性子による活性(放射)化や、中性子束の照射と中止の場合の計数特性をシミュレーションする。最後に、原子核がA→B→Cというふうに連鎖的に崩壊する過程をシミュレーションするが、ここでは、それらの半減期を変化させたりすることもでき、原子核の数は時間の関数としてグラフに表わされる。

GERMER (デビッソン-ガーマーの実験と、G.P.トムソンの実験)
結晶物質による電子線散乱についてのデビッソン-ガーマーおよびG.P.トムソンの実験をシミュレーションする。とくに波動としての電子線のふるまいを重視し、X線散乱の場合との類似性に注目する。演習問題は、散乱された電子線の山や谷がなぜ、またどこにできるかを理解するのに役立つであろう。

QUANTUM (1次元の量子力学)
このプログラムは4部からできている。第1部では、ある特定の波動関数の、位置と運動量の間の不確定性原理を研究することができる。第2部では、いろいろな分散関係の下で、波束が時間とともに変化していく様子が研究できる。第3部では、シュレーディンガー方程式の漸近的自由解を求める方法が研究される。この場合、ある障壁を設定すると、プログラムはあるエネルギーの範囲内で、反射係数、透過係数を計算し、波束が障壁によって時間的にどのように変化していくかを示す。第4部は、シュレーディンガー方程式の束縛解を求める点を除くと、第3部と同じである。このプログラムは、ハミルトニアンの束縛状態固有値と空間的固有関数を計算する。

SCATTER (ラザフォード散乱)
このプログラムは、粒子の古典論的散乱を研究するためのものである。散乱ポテンシャルとしては、あらかじめ決められているポテンシャルの表の中から選択するか、ユーザが任意のポテンシャルを入力することができる。コンピュータは、ビーム・パラメータによって決められる分布から、衝突径数をランダムに選び、散乱事象を発生させる。それは散乱の結果を極座標ヒストグラムと詳細ヒストグラムの形で示し、微分散乱断面積について洞察する助けとなる。シンチレーション・モードを選ぶと、ガイガーとマースデンが実際に行った実験について認識を深めることができる。guess the scattererモードを使うと、散乱の実験が散乱体の性質を調べるのにいかに役立つかという認識を新たにすることになる。

SPECREL (特殊相対性理論)
このプログラムの目的は、特殊相対性理論の勉強である。ミンコウスキーの図によって座標系の変化を研究する。ユーザは物体の座標をある準拠座標系を用いて定義でき、またコンピュータはユーザが選ぶ任意の座標系での座標を計算する。そして、この2つの準拠座標系で物体が表示される。

LASER (レーザー)
このプログラムは、エネルギー準位パラメータ、温度、ポンプ能力、端に置かれた鏡の反射率がコントロールできる場合の3準位レーザーのシミュレーションである。原子の準位占有度は、熱平衡状態からレーザー発光のしきい値を越えて図的に追跡される。光線追跡法で、鏡と(共鳴)空洞のシミュレーションも可能である。したがって、空洞内の光束の形状特性ばかりでなく、空洞の安定性を、鏡の形や位置の関数として調べることが可能となる。

HATOM (水素原子)
水素原子、水素型原子や単一電子2原子分子イオンの固有関数と固有値を計算する。水素型原子が一様な電界や磁界の中に置かれる場合もある。スピンの相互作用は含まれない。磁気的相互作用は、2次のゼーマン項まで含められる。スピン-軌道相互作用のない場合には、1次のゼーマン項は単に少々エネルギー準位を上下するだけである。摂動のないときの水素型原子の波動関数は、既知の解から直接計算できる。外場が含められると、近似的な結果が基底関数による展開すなわちLanczos対角化の方法で得られる。2原子分子の場合には、有効核ポテンシャルが核間結合エネルギーの計算のため記録される。


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