[CUPSシリーズ7]
量子力学シミュレーション
(DOS/V用ソフト付)


John R. Hiller・Ian D. Johnston・Daniel F. Styer 著
青山智夫(宮崎大学情報処理センター) 訳
B5・240頁・4,300円/ISBN4-303-55720-X
初版1996年12月発行


【注】Windows98以降では、多くの場合動作しません。ご注意ください。

 概 要
この本のシミュレーションはパソコンの能力を活用して講師や学生に物理学を教え学ぶ新しい機会を提供し、極めて重要な体感を育てるのに役立たせることを目的としている。テキストは読まずにプログラムを使うこともできるが、この本はその基礎となっている物理を理解し、その上でプログラムをいろいろと利用する方法のヒントを提供している。

我々はこの本に書かれているコンピュータプログラムを指すのに「シミュレーション」という用語を使っている。この用語はいろいろな物理的システムのモデルの、複雑なしばしば実際的な計算を行い、その結果をグラフィカルな(しばしばアニメーションとして)画面で出力することを含むプログラムを指したつもりである。シミュレーションの多くは数値的な出力、時には他のプログラムで解析するための出力ファイル形式のものを出すこともできる。ユーザは通例システムの各種パラメータを変更することができ、そうした場合システムがどんな動きをするかをリアルタイムで学ぶことができる。
 
 実行できるシミュレーション
BOUND1D (1次元の束縛状態)
さまざまなポテンシャル井戸の中の電子のエネルギー、固有関数を探究するための道具である。ポテンシャルの形は四角形(井戸型ポテンシャルのこと)、放物型、傾斜型、非対称形、二重のものあるいはクーロン型である。プログラムの第1の部分は固有値を見いだし、いろいろな井戸の固有関数を扱う。ユーザは試行錯誤法によって固有値を見いだすか、あるいはプログラムが固有値が存在するところを決定するために節数を計量して自動的に固有値を計算する。プログラムの第2の部分は固有関数の規格化と直交性についての性質を見いだし、多種類の重なり積分(1電子演算子の期待値のこと)を計算する。プログラムの第3の部分は束縛状態の固有関数の重ね合わせから構成される一般状態の時間発展を調査する。種々のポテンシャル井戸あるいは重なり積分を具体的に処理するための自分自身のプロシージャを組み入れる機能がユーザに供給されている。

SCATTR1D (1次元の散乱)
1次元ポテンシャル中の定常散乱状態について時間依存のシュレディンガー方程式を解く。波動関数は種々の方法で表示される.透過/反射確率が計算され、エネルギーの関数として表示される。計算は透過波の領域から進行波の領域までシュレディンガー方程式を数値的に積分する方式である。そこでは波動関数は全体に規格化され位相に至るまで既知で、反射/透過波は分離されている。ポテンシャルは進行波領域ではゼロ、透過波の領域では定数に仮定されている。

QMTIME (量子力学的な時間発展)
1次元の量子的時間発展をシミュレーションする。種々の(ガウス、ローレンツなどの)初期波束は色々なポテンシャルエネルギー関数(階段、傾斜、井戸型、調和振動子など)の影響下で、また外部の力を伴ったり、あるいはそれらを除外して時間発展させることができる。同時に新しい可視化技術が複素数の波動関数の強度と位相を表示する。位相および運動量空間の波動関数のどちらも、あるいは同時に表示可能である。このプログラムは量子力学の古典的限界を示すのにとくに有効である。

LATCE1D (1次元格子上の波動関数)
(12個までの)複数の単純なポテンシャル井戸から成る格子上の1電子のエネルギー固有関数を探究する手段を提供する。井戸の形は角形、放物線、クーロン型である。固有値は試行錯誤法を用いて見いだすか、自動的にプログラムによって計算することができる。第1にすべての井戸が同じで一定の間隔に配置されている通常の格子を調査することができる。これらは通常の結晶の多くの性質、とくにエネルギーバンドの存在を示す。第2に井戸の深さと間隔を変化させ、結晶中の不純物あるいは他の不規則性の効果を模倣する。最後に格子上に外部電場を適用できる。井戸を計算する独自のプロシージャ、自己選定した格子配置または外場をプログラムに組み込むことができる。

BOUND3D (3次元束縛状態)
球対称ポテンシャルの中の1粒子のエネルギー固有関数を推定する手段である。ポテンシャルは角形、放物線、クーロンあるいは分子や核の中の重要な型である。プログラムの第1の部分は波動関数の角度部分が球面調和関数であることを仮定して、種々の井戸に対する固有値、固有関数に言及する。与えられた角運動量量子数について固有値と固有関数を試行錯誤法で見いだす、あるいはプログラムによって固有値が存在する場所を決定するために節数を計量して自動的に固有値を計算する。プログラムの第2の部分は固有関数の規格化、直交性の性質および種々の重なり積分の計算を行う。ユーザ自身の特別なポテンシャル井戸や種々の重なり積分をプログラムに組み込むことができる。

IDENT (量子力学の等価粒子)
無限井戸ポテンシャルの中で運動している相互作用しない2粒子の対称化/反対称化/非対称化した波動関数の確率密度を表示する。粒子の交換に対する対称性の要請によって相互作用しない等価粒子の有効相互作用を表示するのに有効である。

SCATTR3D (3次元の中の散乱)
球対称ポテンシャルからの散乱の部分波解析を実行する。動径、3次元波動関数が表示され、同様に位相シフト、微分、全断面積も表示される。この解析は散乱波動関数について(自然)角運動量基底の展開を適用する。動径波動関数は数値的に計算される。すなわちポテンシャルが重要な領域の外側ではそれらはベッセル関数(1位相だけの自由動径関数波動関数とは漸近的に異なる)の線形結合に還元される。角運動量の主値について、これらの位相シフトの知識は断面積の近似に用いられる。

CYLSYM (円柱対称ポテンシャル)
選定されたパリティと磁気量子数の最低状態についての円柱対称ポテンシャルの場合の時間依存シュレディンガー方程式HU=EUを解く。解法は虚数時間発展法に基づく。そこでは初期予測の対称性を保持した最低エネルギー状態に收斂する。ADI法が拡散方程式を解くために用いられる。


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