[CUPSシリーズ8]
波動と光学シミュレーション
(DOS/V用ソフト付)


Wolfgang Christian・Andrew Antonelli・Susan Fischer・Robin A. Giles・Brian W. James・Ronald Stoner 著
尾中龍猛(筑波大学名誉教授) 訳
B5・288頁・4,600円/ISBN4-303-55740-4
初版1997年5月発行


【注】Windows98以降では、多くの場合動作しません。ご注意ください。

 概 要
この本のシミュレーションはパソコンの能力を活用して講師や学生に物理学を教え学ぶ新しい機会を提供し、極めて重要な体感を育てるのに役立たせることを目的としている。テキストは読まずにプログラムを使うこともできるが、この本はその基礎となっている物理を理解し、その上でプログラムをいろいろと利用する方法のヒントを提供している。

我々はこの本に書かれているコンピュータプログラムを指すのに「シミュレーション」という用語を使っている。この用語はいろいろな物理的システムのモデルの、複雑なしばしば実際的な計算を行い、その結果をグラフィカルな(しばしばアニメーションとして)画面で出力することを含むプログラムを指したつもりである。シミュレーションの多くは数値的な出力、時には他のプログラムで解析するための出力ファイル形式のものを出すこともできる。ユーザは通例システムの各種パラメータを変更することができ、そうした場合システムがどんな動きをするかをリアルタイムで学ぶことができる。
 
 実行できるシミュレーション
DIFFRACT (干渉と回折)
このプログラムは、フレネル回折、フラウンホーファー回折、その他の干渉や可干渉効果における波動の基本的ふるまいのいくつかをシミュレーションする。とくにユーザはホイヘンスの原理を用いて、点または点の組、スリットまたはスリットの組の場合の回折現象を学ぶことができるはずである。また1個ないし2個のスリットによる、または1個ないし2個の物体による回折現象を調べるために、コルニュによって開発された方法(コルニュの渦巻)を用いることもできる。また単一または組になったスリット、矩形や円形の開口によるフレネルやフラウンホーファーの回折現象を学ぶこともできる。最後に、干渉や回折現象における部分的な干渉と、干渉縞の鮮明度の問題も学ぶことができる。後者の例として、マイケルソンの天体干渉計による2重星の距離の測定や単一の星の直径の測定を学ぶことができる。

SPECTRUM (干渉・回折の応用)
このプログラムは、4種の重要な光学装置(回折格子、プリズム分光器、マイケルソン干渉計、ファブリー-ペロー干渉計)の用法と働きをシミュレーションする。スペクトルの性質、シミュレーションされた干渉縞の形、分解能などが問題となる。

WAVE (1次元の波動)
このプログラムは、次のような偏微分方程式の時間的展開を調べる有限差分法を用いている:古典的波動、シュレーディンガー、拡散、クライン-ゴルドン、正弦ゴルドン、ファイ-4ゴルドン、さらに2重正弦ゴルドン方程式である。ユーザは、初期関数と境界条件を変えることができる。このプログラムに特有な性質は、マウスで動く装置で、これを用いるとユーザは媒質の中の任意の場所に波源、区分波、検出器を置くことができる。区分波の上でマウスを2回クリックすると、ユーザは光学における薄膜干渉フィルターや量子力学におけるラムザウアー-タウンゼンド効果のような障壁問題をモデル化して、屈折率やポテンシャルなどの性質を編集することができる。いろいろな種類の問題、すなわち検出器の値、時間-空間問題、フーリエ解析やエネルギー密度が解析される。

CHAIN (1次元格子の結合振動子)
このプログラムは、1次元格子の結合振動子の時間的展開を調べるものである。この振動子は、垂直方向に変位するある質量体でできた鎖として画面に表示される。このプログラムによって、進行波や定在波が作られるとき鎖の素子にどのようにニュートン力学が適用されるかを検討することができる。格子間隔と他の性質、たとえば分散関係、バンドギャップ、切断周波数の関係が調べられる。鎖の素子である質量体は線型、2乗型、3乗型の隣接相互作用を持ち、しかも時間に依存する外部力の関数として取り扱われる。格子の全エネルギーやフーリエ変換のような系全体としての性質は、単一質量の力学的変数の時間的展開と同様に表示される。

FOURIER (フーリエ解析と合成)
このプログラムによって、フーリエ解析と1-D (次元)と2-Dのフーリエ変換の研究ができる。フーリエ解析においては、ユーザはあらかじめ定義されている関数を選ぶか、自分の関数を代数的に、数値的に、または図形的に入力する。周期的関数の生成は、付け加えられるフーリエ級数の後続項として表示される。また合成された波形の展開に関する分散と減衰の効果も研究できる。1次元と2次元の離散的フーリエ変換は、標準的な関数と、ユーザの入力した関数の範囲で作ることができる。逆変換に対するフィルターの効果が図示される。2-Dの変換は表面の形と等高線のプロットとして表される。画像処理が中間レベルの像の変換でフィルターを通して表示されるので、逆変換の像が表示されている場合には、像は変形された像になっている。

RAYTRACE (光線追跡とレンズ)
このプログラムは、幾何光学における光線追跡の応用を明らかにする。フェルマーの基本的原理が、2つの異なる媒質中の2点を通る光線の道すじのプロットとして図示される。屈折率が変化していく領域を通ったときの光線のふるまいは、蜃気楼の発生の研究に用いられる。光ファイバーの中では、パルスの遅れの変動がパラメーターの関数として計算され、光通信用ファイバーの特性が考慮される。1次および2次の虹は、屈折率の分散によって作られることが示される。レンズの中の光線追跡におけるマトリックス法は、結像の研究に用いられ、像の収差がどうしてできるか、それを減らすにはどうしたらよいかが示される。

TWOLENS (迅速光線追跡法)
このプログラムは、薄い単レンズか球面鏡で、光線の径路を図で表すのに用いられる。物体と像は、物体から観測者に進んでくる3本の主要な光線と一緒に示される。ユーザはマウスを使って、物体、レンズや鏡の位置を動かし、さらにレンズや鏡の焦点距離も変えることができる。主要光線は、これらの調節がなされるとき、連続的に描き直される。シミュレーションでは、凸レンズ、凹レンズ、凹面鏡、凸面鏡のどれでも取り扱うことができる。そこでユーザは、いろいろな状況の下で実像や虚像に関する直感的な能力を素早く身につけることができる。

EMWAVE (電磁波)
このプログラムは、空間で偏りのある電磁波が伝播する場合の電界ベクトル、磁界ベクトルの空間的、時間的変化をアニメーションとして表示する。ユーザは、ストークスのパラメーターを変えて、波の偏りの変化を観察し、媒質の境界面における振る舞いや、偏光板、1/4波長板の効果を調べることができる。電磁波を観察する方向も3次元的に変化させることができ、電界ベクトルと磁界ベクトルの間の関係も見ることができる。


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