音声の音響分析

レイ・D・ケント、チャールズ・リード著
荒井隆行(上智大学理工学部)、菅原勉(上智大学外国語学部教授) 監訳
矢萩悦啓、今富摂子、生駒美喜、二ノ宮靖史、正木晶子、高澤美由紀 訳
B5・304頁・定価(本体3,200円+税)
ISBN4-303-61000-3
初版1996年5月発行/第5版2004年4月発行

 概 要
音声言語はしばしば、人間のもっとも重要な能力であるといわれ、また人間だけが持つ能力であるといわれることもある。書記言語を用いて黎明期の文明を記録するよりもはるか以前から人間は音声言語を使ってきたが、音声言語自体はいまも研究の対象であり続け、言語学者、心理学者、工学者、音声科学者、コンピュータ科学者、言語病理学者、神経学者が研究努力を重ねている。確かに、このような学問分野の専門家が猛烈に努力しなければならないほど、音声言語は多くの難題を抱えているが、最近の研究はかなり進歩してきている。本書は、音声を音響信号(acoustic signal)と考える立場での最近の進歩について概説するものだが、約50年前の1947年にPotter、Kopp、Greenによって書かれた「Visible Speech」を踏襲している。本書もまた、紙上やコンピュータの画面上のパターンとして、音声を目に見える形にしようとしているのである。音声の音響学における進歩によって、音声は目に見える形となり、音声学、音声合成、自動音声認識、話者同定、コミュニケーションの援助装置、教育プログラム、言語病理学、機械翻訳など、ほんの少しばかり述べるだけでもさまざまな興味深い応用が行われ始めている。

一冊の本の中で一緒に登場することはめったにないであろうが、密接に関連しているいくつかの事項を読者に紹介することが本書の目的であり、音声生成の音響理論、音声信号のディジタル信号処理、音声の音響特徴、音声の音響構造の変動の諸要因、音声合成などについて触れる。これらのトピックについて、数学や工学の知識にはわずかばかり頼るだけにして議論をすることにする。本書の目的は、より多くの読者に、そしておそらくいま本書を読んでいる読者に音声の音響学の分野を知ってもらうことである。(「序文」より)
 
 目 次
第1章 音声音響学の研究とは
     1.1 音声とは何か?
     1.2 音声の生理学的分野
     1.3 音声の音響的分野
     1.4 音声の知覚的分野
     1.5 音響音声信号の3つの形式
     1.6 音声の音響特性に関する考察
     1.7 理論、機器、測定

第2章 音声生成の音響理論
     2.1 母音
     2.2 摩擦音
     2.3 鼻音
     2.4 閉鎖音
     2.5 破擦音
     2.6 流音
     2.7 二重母音とわたり音
     2.8 非線形理論
     2.9 まとめ
     2.10 展望

第3章 音声の音響分析とは
     3.1 音声の音響分析に関する歴史
     3.2 音声のディジタル信号処理
     3.3 フィルタ演算処理
     3.4 標本化
     3.5 量子化
     3.6 増幅
     3.7 配線
     3.8 まとめ

第4章 現代の分析技術
     4.1 波形表示
     4.2 フィルタ
     4.3 スペクトル分析
     4.4 基本周波数の測定
     4.5 声帯振動の波形の復元
     4.6 まとめ

第5章 母音・二重母音の音響特性
     5.1 母音
     5.2 二重母音
     5.3 まとめ

第6章 子音の音響特性
     6.1 閉鎖子音
     6.2 摩擦子音
     6.3 破擦子音
     6.4 鼻子音
     6.5 わたり音
     6.6 流音
     6.7 弾音と声門閉鎖音の異音
     6.8 まとめ

第7章 文脈や話者が及ぼす音響効果
     7.1 調音結合
     7.2 超分節素
     7.3 話者変数:年齢と性別
     7.4 言語障害
     7.5 その他の応用と論点

第8章 音声合成
     8.1 目的
     8.2 フォルマント型音声合成方式
     8.3 規則合成方式
     8.4 分析合成方式
     8.5 結論


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