満州残像

河内山典隆 著
四六・280頁・定価(本体1,800円+税)
ISBN4-303-64540-0
初版2002年11月発行

 概 要
21世紀を迎えた今日では、19世紀末の日清戦争、20世紀初頭の日露戦争はもとより、第一次世界大戦をへて1937年から始まった日中戦争でさえ、若い人々の記憶から消え去ろうとしている。筆者は1928年東京に生れ、小学生だったほぼ6年間を満州(現在の中国東北地方)で過ごした経験がある。今でこそ満州国が日本の傀儡国家であったことが、歴史的な事実として位置付けられているが、満州建設の国策会社社員となった父親に連れられて渡満し、首都・新京で過ごした僅かな体験だけで、日本の中国大陸政策や満州国建設にいたる経緯などを知ることは、とうてい不可能なことだった。

しかし、第二次世界大戦(太平洋戦争)が日本にとって悲劇的な結末に終わってから半世紀。それまであえて「満州」に背を向けてきた筆者にも、ようやく「満州国」そのものや、満州という土地に生きた幾つかの民族とその歴史を、自分なりにまとめてみたいという意欲に駆られるようになった。その直接的な契機となったのが、当時のハルビン特務機関が指導して編成された白系ロシア人を主体にした謀略部隊、通称「浅野部隊」の生き残り日本人幹部から、浅野部隊の実態を取材する機会に恵まれたためであった。

この浅野部隊については、その概略を記述した文献が幾つかあるし、著名作家が小説の一部に利用、紹介しているから、知る人にとっては、さほど珍しいものではないが、部隊が編成された経緯や組織、訓練の内容などの詳細について記述された文献は少ないように思う。浅野部隊の内部からの証言は、それなりに貴重なものといえるだろう。

筆者はこの浅野部隊を土台に、満州に関わる数え切れない文献をひもときつつ、当時の日本人にとって満州とは何だったのか、を考えた。満州国を事実上支配していたといってもよい関東軍の手によって、日ソ開戦の先兵として編成された時代錯誤の浅野部隊が、何らなすところなく敗戦の日を待たず消滅したのはなぜか。そのドキュメント・ストーリーを借りて、筆者なりの「満州像」を書き残したつもりである。 (「はしがき」より)
 
 目 次
第1章 馬賊の歌
第2章 日露戦争と永沼挺身隊
第3章 習志野騎兵旅団で運命の出逢い
第4章 ロシア革命で追われたコザック
第5章 浅野コザック騎兵部隊
第6章 ハルビン特務機関
第7章 ゾルゲ事件と日ソ中立条約
第8章 対ソ「関特演」の発動
第9章 ソ連軍高官の満州亡命
第10章 敗戦の満州に消えた群像


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