文系のための
資源・エネルギーと環境


池田良穂(大阪府立大学名誉教授) 著
A5・160頁・定価(本体1,800円+税)
ISBN978-4-303-56220-5
初版2016年4月発行

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 概 要
  著者は、もともと、大阪府立大学の工学部において、船舶工学、海洋工学の教鞭と研究に長年携わってきましたが、神戸夙川学院大学の観光文化学部の専門科目で「クルーズビジネス論」を2年間講義し、また大阪経済法科大学の経済学部・法学部での一般教養科目として、エネルギー、水産、海運・港湾に関わる3つの講義をするようになりました。
 こうした文系の大学での教育経験だけでなく、日々読む新聞や雑誌、テレビやラジオ、そしてセールスマン・トークなどでも、科学的な知識に基づかない発言や主張を耳にするたびにかなりの危機感を覚えてきました。
 たとえば、「電気自動車はCO2や有害排気ガスを出さない」、「水素エネルギー社会はクリーンで、燃料電池車は環境に良い」などという宣伝が巷に広がり、そのまま信じ切っている人がいるのに驚かされます。電気自動車に必要な電気は主に火力発電によってつくられており、その発電の時にはCO2も有害排気ガスも出していることや、水素自体は自然の中には存在せずに水素を作る時にエネルギーが必要で、それらの過程でCO2や有害排気ガスの排出があることは、理系の人間であれば常識でしょう。しかし、こうした巷に広がった間違った情報の元をたどれば、理系の技術者にたどり着くことが多いのも事実です。多くの場合には、開発に携わった技術者は電気自動車や燃料電池車は「走行時には車からは有害物質を排出しない」と正確に言っているのでしょうが、前提となる「走行時に車からは」という最も大切なフレーズが、意図してか意図せずにかはわからないですが欠落してしまい、間違った情報が世の中に蔓延する結果となっているのです。
  こうした状況の中、文系で学ぶ人々にも、できるだけ正確な科学情報を、できるだけ数式は使わずにわかりやすく伝えたいという思いで、本書を執筆することとしました。
 もちろん、問題によってはまだ科学的に明らかになっていないことも少なくないので、現時点で断定ができないこともあるのは確かです。また、科学がさらに進めば、今のところ大きな壁として立ちはだかる問題点が、一瞬にして消える可能性もなくはありません。その結果、今までの常識が覆される場合もあります。常に環境の変化に応じて、柔軟に考え、判断し、行動することが大事だと思います。
 生物の進化においても、環境の変化に柔軟に対応できた種だけが生き延びるといいます。環境はどんどん変化をしており、それに対応するのが大事だということはみんなが知っているはずです。環境の変化をできるだけくい止めることも大事ですが、環境の変化にいかに対応できるかも大事なことだと思います。
  本書を読んで、「おや、ここはちょっと違うのでは?」という疑問を常にもっていただけると、たいへん嬉しく思います。自分の頭で、論理的に物事を考えて行動する姿勢はとても大事だと思います。この本が、そうした柔軟で合理的な思考方法をはぐくむ一助になれば幸いです。
  本書の中には、船の話題や写真が多数掲載されていますが、これは著者が船に憧れて船舶工学を学び、長年、船舶工学に関する教鞭と研究に携わってきたためです。(「はじめに」より)
 
 目 次

第1章 エネルギーとはなにか
     1.1 仕事をする能力を表すエネルギー
     1.2 人間に仕事をさせるエネルギーとは
     1.3 力学系のエネルギー
     1.4 力学的エネルギーと熱エネルギーとの交換
     1.5 エネルギーの単位
     1.6 エネルギー資源とは
     1.7 仕事のできる能力を測る仕事率

第2章 エネルギー利用の歴史
     2.1 自然エネルギーの利用
     2.2 蒸気の力の利用
     2.3 蒸気機関の出現
     2.4 大出力のでる蒸気タービン機関
     2.5 内燃機関の登場
     2.6 電気エネルギーの利用
     2.7 電気とはなにか
     2.8 電気をつくる
     2.9 化学反応で電気をつくる乾電池
     2.10 電気をためる蓄電池
     2.11 水素と酸素で発電する燃料電池

第3章 エネルギー資源
     3.1 地中に埋まるエネルギー資源
        3.1.1 化石燃料
        3.1.2 化石燃料の輸送
        3.1.3 シェール革命
        3.1.4 原子力利用のための資源
     3.2 深海底に眠る新しいエネルギー資源「メタンハイドレード」
     3.3 生物(バイオ)エネルギー資源
     3.4 ゴミもエネルギー資源
     3.5 自然エネルギー
        3.5.1 水力エネルギーの利用
        3.5.2 地熱エネルギーの利用
        3.5.3 太陽光・太陽熱の利用
        3.5.4 風力

第4章 エネルギー資源の利用(熱機関)
     4.1 外燃機関
     4.2 内燃機関

第5章 エネルギーの利用(電気)
     5.1 水力発電
     5.2 火力発電
     5.3 原子力発電
        5.3.1 核分裂反応
        5.3.2 高速増殖炉
        5.3.3 安全性
     5.4 地熱発電
     5.5 バイオマス発電
     5.6 ゴミ発電(廃棄物発電)
     5.7 太陽光発電

第6章 ふさわしい電力構成―エネルギーミックス

第7章 発電と送電システム

第8章 エネルギー消費の現状(生活、インフラ、産業、交通)
     8.1 日本のエネルギー消費の現状
     8.2 交通機関のモーダルシフト

第9章 省エネ技術をみる
     9.1 乗用車の省エネ
     9.2 住宅の省エネ
     9.3 水素エネルギー社会とは
     9.4 ヒートアイランド現象の緩和

第10章 エネルギー利用と環境

エネルギーに関する100問

コラム1 質量と重量
コラム2 3桁ごとの名前
コラム3 人間の仕事率は?
コラム4 ブルーリボン
コラム5 クリーンディーゼル
コラム6 温室効果ガス
コラム7 日本のエネルギー資源
コラム8 シーレーン
コラム9 原油価格の暴騰
コラム10 長崎沖の軍艦島
コラム11 どぶ川でのメタン発酵
コラム12 ダムの役割
コラム13 サンシャイン計画
コラム14 LNG燃料で走る船
コラム15 発電機と電気モーター
コラム16 ダムとは?
コラム17 火力発電船
コラム18 核エネルギーの平和利用
コラム19 使用済み核燃料の処理
コラム20 原子力を正しく恐れることが大切
コラム21 マグマの熱エネルギーの利用
コラム22 船舶での太陽電池の活用
コラム23 意思決定を分析するAHP法
コラム24 地中熱の利用
コラム25 電力vs.ガス
コラム26 モーダルシフトと逆行した高速道路無料化
コラム27 火力発電所からのCO2排出
コラム28 CO2の回収と貯蓄
 


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