疑似科学はなぜ科学ではないのか

―そのウソを見抜く思考法

C・M・ウィン/A・W・ウィギンス 著
シドニー・ハリス 画
奈良一彦 訳

UFOや幽体離脱、占星術、創造説、超能力などに関する多くの興味深い事例を通じて、科学と疑似科学の違いを知り、疑似科学に騙されないためのポイントを学べる。さらに随所にちりばめられたシドニー・ハリスのウィットに富んだ漫画が楽しい。巻末には疑似科学関連の用語集も。科学の本質がわかりやすく語られている。

書籍データ

発行年月 2009年2月
判型 四六
ページ数 224ページ
定価 1,760円(税込)
ISBNコード 978-4-303-73490-9

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概要

インターネットが普及したこともあり、いまや私たちの周りには多くの疑似科学がはびこっています。実際、疑似科学が原因で被害を受けたり、損失を被る人たちもいます。しかし、科学的知識が高度化、複雑化する中で、私たちが疑似科学を見極めることは難しいようにも思われます。何か良い対処方法はあるのでしょうか。

疑似科学には共通の特徴があり、真の科学との明白な違いがあります。本物の金と一見すると金ではないかと思えてしまう黄鉄鉱を区別する条痕試験のように、真の科学と科学を装った偽物を区別するためのポイントがあるのです。また、疑似科学の罠に陥ってしまう原因はそれを信じる私たちの側にもあります。そういった道標を持つことによって、私たちが疑似科学の迷路に迷い込むことを防いでくれる助けとなるはずです。

本書は著者チャールズ・M・ウィンとアーサー・W・ウィギンズの軽妙な文章と多くの興味深い事例を通じて、科学と疑似科学の違いを知り、疑似科学に騙されないためのポイントを楽しく学ぶことができます。科学漫画家シドニー・ハリスのウィットに富んだ漫画がさらに読書を楽しくしてくれます。さまざまな類書が出版されていますが、本書は疑似科学の問題点を取り上げることによって、逆に真の科学というものの本質がわかりやすく語られている、一種の科学哲学の入門書にもなっている点が、既存の本と大きく異なるところです。将来科学者を志す若い方に読んでいただければ、きっと何らかの示唆を与えてくれることでしょう。そうした若者たちを中心に多くの方が本書を読んでくださることを願って止みません。(「訳者あとがき」より抜粋)

目次

プロローグ

第1章 事実の探究―科学的方法
      科学的方法
      科学的観測
      科学的仮説
      科学的な予測
      科学的実験法
      科学的推論の繰り返しサイクル
      仮説、法則、理論およびモデル

第2章 科学的推論の実際
      原子モデルの発展
      誰も完全ではない
      真実だけど、変
      科学を支える多くの分野
      似ているが、同じではない

第3章 現実の追究vs幻想の追求
      疑似科学の受容
      疑似科学―無害な娯楽か、それとも有害な空想か?
      自然vs超自然
      科学とマジック
      隠れた力をうまく利用する
      マジックvs魔術
      疑似科学における観測
      疑似科学における仮説
      疑似科学における予測
      疑似科学における実験
      疑似科学における推論の繰り返しサイクル
      疑似科学―まとめ
      疑似科学における5大思想

第4章 UFOと地球外生命体説
      初期の目撃例―けれど、この目ではっきり見たんですよ!
      航空生理学
      まやかし―誤りを証明されたUFO説
      IFO(確認飛行物体)
      ロズウェル・ヒステリー
      古代の宇宙飛行士
      イースター島の石像
      エジプトのピラミッド
      エイリアンによる誘拐
      反証不能なUFO説
      複雑すぎるUFO説へのオッカムの剃刀の適用
      ちょっと待った!
      SETIプロジェクト―訓練された観測者による観測
      ドレイクの方程式―誰か聞いているかい?
      エイリアンのイメージ
      共感できる結論

第5章 体外離脱体験と霊的存在
      心霊術
      臨死体験
      臨死体験の神経化学的な説明
      臨死体験の魂仮説
      カール・セーガンによる説明―出生の再体験
      酸素の欠乏?
      幽霊として現れる霊魂
      見れば/聞けば/感じれば、信じることができるのだろうか?
      チャネリング―霊からのメッセージは霊媒のメッセージ
      霊による憑依
      生まれ変わり
      幽体離脱―肉体を離れても、つながりは切れない
      不死

第6章 占星術
      殺したばかりのニワトリの内臓で未来を予測する
      手相占い
      数秘術
      筆跡学
      水晶占い
      ウイジャ盤
      易経
      タロットカード
      占星術―天空の中身から未来を予測する

第7章 創造説
      宇宙の進化
      生物の進化
      地球の進化
      科学のタペストリー
      「科学的」創造説
      「洪水が世界的な規模のものであった」という主張
      「恐竜と人類は同じ時代に生存していたことがある」という主張
      「生物の進化は熱力学の第2法則に反する」という主張
      「進化が観測されたことはない」という主張
      「偶然だけでは進化をすべて説明できない」という主張
      「進化は単なる学説でしかない」という主張
      「証拠は仕組まれたものだ」という主張
      「科学的」短期創造説は科学なのか、それとも教義なのか?
      進化と信仰
      教訓的な話
      ルイセンコ主義

第8章 通常感覚による知覚、超感覚的知覚およびサイコキネシス
      通常の感覚による知覚(NSP)
      感覚刺激の検知
      受容器細胞と刺激の伝達
      視覚
      聴覚
      味覚
      嗅覚
      触覚
      位置感覚
      感覚―現実世界に開かれた窓
      超能力現象の心理学(超心理学)
      ESP―離れた場所から情報を知る
      ダウジング
      ノストラダムス
      サイキック・リーディングが当たっているように感じられるのはなぜか
      サイコキネシス―離れた場所から作用する力
      どんどん上に昇っていく―空中浮揚
      サイ現象が間違いなく存在するのだとすれば、その原因は何か?
      サイが存在しないことを立証することは可能か?

第9章 事実の科学的な追究
      愚者の金、それとも本物の金?
      疑似科学か、それとも真の科学か?
      ビッグフットとネッシー―本当に目撃されたのか、それとも嘘か?
      人体自然発火現象―本当か、それとも嘘か?
      火渡りをしても火傷をしないわけ―その嘘、本当
      現実と幻想の境界
      証拠の捏造と、それに携わる人々
      ホロコースト否定論―真実か、それとも嘘か?
      疑似科学と科学の分かれ道

エピローグ
用語集
もっと知りたい読者のために
索引
訳者あとがき