ヨコエビ ガイドブック

有山啓之 著

第1部「ヨコエビガイド」では、形態・色彩や生態を紹介するとともに、研究方法、分類研究史、最新の分類体系、日本産の科の検索表も提示。第2部「ヨコエビ図鑑」では、カラー写真付きで140種を解説。随所にコラムを挿入し、様々な興味深い話題を提供する。この一冊ですべてがわかる、初めてのヨコエビ本。
[2023年3月、2版2刷発行]

書籍データ

発行年月 2022年5月
判型 B5
ページ数 160ページ
定価 4,950円(税込)
ISBNコード 978-4-303-80061-1

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概要

この本では、一般の方にはあまりなじみは無いが、実はとても興味深いヨコエビという小動物について紹介します。私は1990年頃から本格的にヨコエビの分類研究を開始し、それ以降、成果を多くの論文にまとめてきました。ヨコエビを紹介する一般向けの小文(有山、2011、2016)や『写真でわかる磯の生き物図鑑』(今原ほか、2016)中のヨコエビの項も書いたことがありましたが、ページ数の制限もあり詳しく書けませんでした。そこで今回、コロナ禍で時間に余裕があったこともあり、この一冊でヨコエビのすべてがわかるよう大幅に書き直しました。
本書は二部構成になっています。第1部は「ヨコエビガイド」で、ヨコエビ全体の形態・色彩や生態を紹介するとともに、研究方法、分類研究史、最新の分類体系、日本産の科の検索表も提示しました。第2部は「ヨコエビ図鑑」で、日本の中部で普通に見られる種を中心に、カラー写真付きで140種を解説しました。また、随所にコラムを挿入し、いろいろなテーマや私の経験などの話題を提供しています。より深く勉強したい読者のために、専門用語には英語表記も加え、巻末にすべての文献リストを挙げるとともに、学名・和名索引を掲載しました。文中にはかなり専門的な部分もありますが、できるだけ説明を加え、平易な表現を使ったつもりです。読者の皆さんにはできればすべてに目を通していただきたいと思いますが、おもしろそうな部分だけ読んでいただいてかまいません。図鑑の部分だけでも、「こんな形や色のヨコエビがいるんだ」というように、楽しんでいただけるでしょう。(「はじめに」より抜粋)

目次

第1部 ヨコエビガイド
 1.ヨコエビとはどんな動物か
 2.研究方法
 3.日本における分類研究小史
 4.現在の分類体系
 5.日本産ヨコエビ全科の検索

第2部 ヨコエビ図鑑
 1.アゴナガヨコエビ科 Pontogeneiidae
 2.アシマワシヨコエビ科 Maxillipiidae
 3.エンマヨコエビ科 Dexaminidae
 4.カイコウオオソコエビ科 Hirondelleidae
 5.カッチュウヨコエビ科 Iphimediidae
 6.カマカヨコエビ科 Kamakidae
 7.カマキリヨコエビ科 Ischyroceridae
 8.ガラモノネクイムシ科 Biancolinidae
 9.キタヨコエビ科 Anisogammaridae
 10.クダオソコエビ科 Photidae
 11.クチバシソコエビ科 Oedicerotidae
 12.シャクトリドロノミ科 Dulichiidae
 13.スガメソコエビ科 Ampeliscidae
 14.スベヨコエビ科 Odiidae
 15.スンナリヨコエビ科 Maeridae
 16.セバヨコエビ科 Sebidae
 17.センドウヨコエビ科 Eriopisidae
 18.ダイダラボッチ科 Alicellidae
 19.タカラソコエビ科 Tryphosidae
 20.タテソコエビ科 Stenothoidae
 21.チビヨコエビ科 Amphilochidae
 22.ツツヨコエビ科 Colomastigidae
 23.ツノヒゲソコエビ科 Haustoriidae
 24.テングヨコエビ科 Pleustidae
 25.トゲヨコエビ科 Liljeborgiidae
 26.ドロクダムシ科 Corophiidae
 27.ドロノミ科 Podoceridae
 28.ネクイムシ科 Eophliantidae
 29.ハッジヨコエビ科 Hadziidae
 30.ハマトビムシ科 Talitridae
 31.ヒゲナガヨコエビ科 Ampithoidae
 32.ヒサシソコエビ科 Phoxocephalidae
 33.フクスケヨコエビ科 Synopiidae
 34.フタハナヨコエビ科 Atylidae
 35.ボウノボリヨコエビ科 Protodulichiidae
 36.ホテイヨコエビ科 Cyproideidae
 37.マミズヨコエビ科 Crangonyctidae
 38.マルソコエビ科 Urothoidae
 39.マルハサミヨコエビ科 Leucothoidae
 40.マルヨコエビ科 Nuuanuidae
 41.ミノガサヨコエビ科 Phliantidae
 42.メリタヨコエビ科 Melitidae
 43.モクズヨコエビ科 Hyalidae
 44.ユンボソコエビ科 Aoridae
 45.ヨコエビ科 Gammaridae

コラム
 1.生物の分類階級
 2.ヨコエビの体長
 3.ヨコエビ分類の巨人バーナード
 4.外来生物としてのヨコエビ
 5.食料・餌料としてのヨコエビ
 6.花粉を運ぶヨコエビ?
 7.DNA
 8.タイプ標本
 9.もう一人の巨人ローリー
 10.刺毛
 11.方向を示す用語
 12.亜種
 13.深海のヨコエビ
 14.絶滅危惧種イサハヤカマカモドキ
 15.ビワカマカの起源
 16.ヨコエビの「絹糸」
 17.Wordの機能と大失敗
 18.『新日本動物図鑑』とサーシュ
 19.インターネットとSNS
 20.琉球列島のヨコエビ
 21.新科の設立と公表年
 22.メリタヨコエビ属の交尾前ガード
 23.ヨコエビの分散方法
 24.交雑試験
 25.一押しの採集地:和歌山市田倉崎

プロフィール

有山 啓之(ありやま ひろゆき)
1954年、神戸市生まれ。
元・大阪府環境農林水産総合研究所水産研究部長、現在は大阪市立自然史博物館外来研究員。
日本ベントス学会、日本動物分類学会、日本甲殻類学会会員。
京都大学博士(農学)、博士(理学)取得。