新 写真でわかる磯の生き物図鑑
トンボ出版から出版され、多くの観察者に愛用されてきた図鑑を全面改訂。磯で見られる生き物約700種を約1000点のカラー写真で収録。無脊椎動物の体制模式図や海藻の断面図も多数掲載。用語解説、参考文献、学名・和名索引も充実。他にも、検索表、潮汐のしくみや磯浜の外来生物に関する解説、観察の手引きなど、情報満載。
[2023年7月、2版発行]
※2版における改訂内容はこちら
書籍データ
発行年月 | 2023年5月 |
判型 | A5 |
ページ数 | 288ページ |
定価 | 2,860円(税込) |
ISBNコード | 978-4-303-80056-7 |
概要
この図鑑は、磯の生き物の名前をできるだけ素早く正確に探すことを目標に編集されました。そのため、磯の生き物にあまり馴染みのなかった読者のために、外部形態の大まかな特徴とすみ場所からどの生き物の仲間なのかを探す手助けとして、検索表(第1章)を付けました。
第2章の「磯でよく見かける生き物」(=図鑑の部)では、岩礁海岸の潮間帯にすむカイメンやイソギンチャク、貝やカニの仲間からヒトデやホヤ、魚類までの動物と、海藻のうちの肉眼で観察できる種類について、大阪湾海岸生物研究会が、大阪市南部から和歌山市北部の岩礁海岸で1980年以来40年以上にわたって継続している生物相調査で毎年出現している種類を中心に、黒潮の影響を受ける房総半島および山形県飛島以南の岩礁海岸にすむ種類をできるだけ多く掲載しました。また、種類を分類するうえで着目する必要のある体の特徴を示すために、主要なグループには体制模式図を付けると共に、よく似た生き物同士の違いが一目で分かるように、生き物の写真には、その種類の特徴的な部分をできるだけ矢印などで具体的に示しました。海藻の分類には藻体の構造を観察する必要のあることが多いので、できるだけ藻体の断面図を付けました。
第3章ではそれぞれの生き物がすんでいる背景を知る手がかりとして「磯浜の環境と生き物の分布」、第4章では近年話題になっている外来生物の実態を紹介する「磯の外来生物」、第5章では磯の生き物観察の準備から観察のポイントを紹介する「磯観察に行こう」の三つの項目について解説を加えました。
第2章の各種類の解説では、できるだけ分かりやすい表現を心がけました。しかし磯にすむ生き物は、動物では海綿動物門から脊椎動物門(魚類)までのグループごとに、海藻類でも緑藻植物門・黄藻植物門(褐藻)・紅藻植物門のグループごとに体の構造が大きく異なっているので、体の各部分に対してそれぞれ独特な名前(専門用語)が付けられています。そして生き物によっては、体の大まかな特徴だけでは種類の判別が難しくて、種類を正確に調べるためには専門用語で表現される体の細かな部分を観察する必要もあります。普段の生活では耳慣れない専門用語については、巻末の「用語解説集」でその意味を解説しました。さらに多くのことを学びたい読者のために、この図鑑を作る過程で参考にした図書や文献のうち重要と考えられる書誌を「主要参考文献」としてリストアップしました。(「本書の特色と使い方」より抜粋)
目次
はじめに・協力者一覧
本書の特色と使い方・凡例
第1章 生き物を見分けるための検索表
1. 総合検索表
2. 移動性無脊椎動物検索表
3. 定座性無脊椎動物検索表
4. 固着性無脊椎動物検索表-1
5. 固着性無脊椎動物検索表-2
第2章 磯でよく見かける生き物
1. 海綿動物門(カイメンの仲間)
2. 刺胞動物門(ガヤ、クラゲ、ソフトコーラル、イソギンチャク、サンゴの仲間)
3. 扁形動物門(ヒラムシの仲間)
4. 紐形動物門(ヒモムシの仲間)
5. 環形動物門
ホシムシ類
多毛類(ゴカイ、ミミズの仲間)
6. 軟体動物門
多板綱(ヒザラガイの仲間)
腹足綱
ツタノハ目・ヨメガサ目(ツタノハ、カサガイ類)
スカシガイ目(スカシガイ類)
ミミガイ目(アワビ類)
ニシキウズ目(イシダタミ、サザエ類など)
ホウシュエビス目(アシヤガイ)
アマオブネ目(アマオブネ、アマガイ)
オニノツノガイ目(ウミニナ類)
カリバガサ目(アワブネガイなど)
エゾタマキビ目(タマキビなど)
スイショウガイ目(マガキガイ)
タカラガイ目(タカラガイ類)
ヤツシロガイ目(ウネボラ)
真腹足目(ムシロガイ、イソニナ、イボニシ、イモガイ類など)
オオシイノミガイ目(ミスガイ)
フシエラガイ目(ウミウシの仲間1)
裸鰓目(ウミウシの仲間2)
頭楯目(ウミウシの仲間3)
アメフラシ目(アメフラシ類)
コウダカカラマツ目(カラマツガイ類)
嚢舌目(ミドリガイ類)
オカミミガイ目(シイノミガイなど)
ドロアワモチ目(イソアワモチ目:イソアワモチなど)
二枚貝綱
イガイ目(イガイ、ヒバリガイ類)
フネガイ目(エガイ類)
イタヤガイ目(ナミマガシワガイ)
ウグイスガイ目(アコヤガイ)
カキ目(カキ類)
トマヤガイ目(トマヤガイ)
マルスダレガイ目(キクザル、アサリ類)
ウロコガイ目(チリハギガイ)
頭足綱
八腕目(タコの仲間)
7. 節足動物門
鋏角亜門
ウミグモ綱(ウミグモの仲間)
クモ形綱(テングダニの仲間)
甲殻亜門
鞘甲綱
カメノテ目(カメノテ)
フジツボ目(フジツボ類)
軟甲綱
端脚目(ヨコエビ、ワレカラの仲間)
等脚目(ミズムシ、ウミセミ、フナムシなど)
十脚目
コエビ下目(スジエビ、テッポウエビの仲間)
アナエビ下目(スナモグリ)
異尾下目(ヤドカリ下目:ヤドカリ、カニダマシの仲間)
短尾下目(カニ下目:カニの仲間)
8. 苔虫動物門(外肛動物門:コケムシの仲間)
9. 腕足動物門(シャミセンガイの仲間)
10. 棘皮動物門
ウミユリ綱(ウミシダの仲間)
ヒトデ綱(ヒトデの仲間)
クモヒトデ綱(クモヒトデの仲間)
ウニ綱(ウニの仲間)
ナマコ綱(ナマコの仲間)
11. 尾索動物門
ホヤ綱(ホヤの仲間)
12. 脊椎動物門
硬骨魚綱
ボラ目(ボラ)
スズキ目(カサゴ、チョウチョウウオ、メジナ、ベラ、ハゼの仲間など)
フグ目(ヒガンフグ)
13. 緑藻植物門
アオサ藻綱
ヒビミドロ目(ランソウモドキなど)
アオサ目(ヒトエグサ、アオサなど)
シオグサ目(アオモグサ、ジュズモ類、バロニアなど)
ハネモ目(ミル、イワヅタなど)
14. 黄藻植物門
褐藻綱
イシゲ目(イシゲ)
アミジグサ目(アミジグサ、シワヤハズなど)
シオミドロ目(シワノカワ、イワヒゲ、ハバノリ、フクロノリなど)
チロプテリス目(ムチモ目:ムチモ)
ウルシグサ目(ケウルシグサ)
コンブ目(ワカメ、カジメなど)
ヒバマタ目(ヒジキ、アカモク、ウミトラノオなど)
15.紅藻植物門
ウシケノリ綱
ウシケノリ目(ウシケノリ、マルバアマノリ、スサビノリなど)
真正紅藻綱
ウミゾウメン目(ウミゾウメン、カモガシラノリ、ガラガラなど)
サンゴモ目(ピリヒバ、カニノテなど)
テングサ目(マクサ、オバクサなど)
スギノリ目(マフノリ、ツノマタ、ミリン、オキツノリなど)
イソノハナ目(コメノリ、ムカデノリ、トサカマツ、フダラクなど)
オゴノリ目(オゴノリ、カバノリなど)
マサゴシバリ目(フシツナギ、カイメンソウ、マサゴシバリなど)
イギス目(アヤニシキ、マクリなど)
第3章 磯浜の環境と生き物の分布
1. 南北に長い日本列島の地形と海流
2. 潮の満ち干と生き物の分布
3. 磯の生き物の暮らし方
第4章 磯浜の外来生物
1. 外来生物とは
2. 外来生物はどのようにして持ち込まれる?
3. 外来生物がもたらす問題
4. 内湾域に多い外来生物
5. 外来生物にも目を向けよう
第5章 磯観察に行こう
1. 行き先を決めよう
2. 日取りを決めよう
3. 服装をキメよう
4. 持ち物をそろえよう
5. さあ、観察しよう
コラム
マイホームを持つカサガイ類
ニシキウズの仲間の見分け方
岩場の食物連鎖
頭のない二枚貝の前後左右
フジツボの蔓脚
モンツキイシガニ
カサシャミセンは生きた化石
柄を持つウミシダ
イトマキヒトデが裏返ったら?!
マヒトデは世界の嫌われもの?
磯辺で行われるクサフグの産卵
黒潮の贈りもの
ゴンズイ玉の不思議
どっこい生きてるゴミの中
潮だまり
外来生物法
磯での移動は危険がいっぱい!
海藻の種類の調べ方
用語解説集
主要参考文献
種の和名および地方名索引
種の学名索引
執筆者一覧
プロフィール
<編著者>
今原 幸光(いまはら ゆきみつ):(公財)黒潮生物研究所客員研究員
<共著者>(五十音順)
有山 啓之(ありやま ひろゆき):大阪市立自然史博物館外来研究員
石田 惣(いしだ そう):大阪市立自然史博物館学芸員
伊藤 勝敏(いとう かつとし):海中カメラマン(日本写真家協会会員)
大谷 道夫(おおたに みちお):大阪市立自然史博物館外来研究員
柏尾 翔(かしお しょう):きしわだ自然資料館
竹之内 孝一(たけのうち こういち):元奈良学園中学校・高等学校教諭
鍋島 靖信(なべしま やすのぶ):大阪市立自然史博物館外来研究員
波戸岡 清峰(はとおか きよたか):大阪市立自然史博物館外来研究員
花岡 皆子(はなおか みなこ):(株)海洋生態研究所主任研究員
松井 彰子(まつい しょうこ):大阪市立自然史博物館学芸員
山西 良平(やまにし りょうへい):西宮市貝類館顧問
渡部 哲也(わたなべ てつや):西宮市貝類館学芸員